味覚障害があるときの食事のポイント

がんの治療中の患者さんは、お薬の影響で味覚障害がおきてしまう場合があります。
味覚障害は個人差があり、症状の出方も「味を感じにくい」、逆に「味を濃く感じる」など人それぞれです。
ここでは、特によくみられる味覚障害について、少しでも美味しく食事を楽しむためのポイントと、そのアイデアを盛り込んだレシピをご紹介します。
味覚障害は日によっても、体調によっても変わります。少しずつ試してみてくださいね。(2025年9月公開)

味を感じにくいとき 味を感じられなくなったり、薄く感じる。

特徴 ・いままでちょうど良かった味付けを薄く感じる、
またはまったく味がしない

ポイント1

はっきりとした味付けにする

いつもより味付けを濃くしたり、ソースやケチャップではっきりとした味付けにする。

ポイント2

薬味やスパイスなど香りを生かす

青じそや生姜などの薬味や、カレー粉などのスパイス、ゆずなど香りをいかした味付けにする。

ポイント4

冷ましてから食べる

冷たくも熱くもない人肌くらいの温度が一番味を感じやすいため、冷ましても美味しく食べられる料理を取り入れる。

味を濃く感じるとき 味覚が過敏になり、塩けなど特定の味を濃く感じる。

特徴・いつもの味付けを濃く感じて食べられない
・塩けなど特定の味を濃く感じる

甘味を強く感じるとき 味覚が過敏になり、特に甘味を強く感じる。

特徴・甘味を強く感じて料理がすべて甘く感じる

ポイント1

甘味調味料や甘味の強い食材を控える

砂糖やみりん、ケチャップなど甘味のある調味料や、さつまいもやかぼちゃ、果物など甘味の強い食材を控える。

ポイント3

塩味が引き立つ味付けにする

甘味のある調味料を使わずに、塩とハーブ、塩とレモンなど塩味が引き立つ味付けにする。

苦味&金属の味がするとき 特定の食材や調味料を苦く強く感じたり、金属の味がする。

特徴・しょうゆや塩味を苦く感じる
・食材の苦味を強く感じる
・肉や肉の加工品を食べると金属の味がする

ポイント2

塩けの強い調味料を使わない

塩やしょうゆをはじめとした塩けが強い調味料は使わずに、香味野菜やハーブ、スパイスでアクセントを付ける。

亜鉛を含む食材を取り入れましょう 亜鉛を含む食材を取り入れましょう

亜鉛は味蕾細胞を形成するのに必要不可欠です。亜鉛が不足すると、味覚障害の要因になります。亜鉛は体内で作れないため、毎日コツコツ摂ることが大切です。特に血液検査などで亜鉛が欠乏しているとわかった場合は、牛肉や大豆製品など亜鉛を含む食品を、積極的に日々の食事に取り入れましょう。

1日の推奨量(18歳〜)※1

男性:9.0〜9.5mg / 女性:7.0〜8.0mg

出典:※1 厚生労働省/日本人の食事摂取基準(2025年版)
栄養価出典:文部科学省/日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

亜鉛を含む食品

亜鉛を含む食品。以下の5つのカテゴリーに分けて、食品とその鉄分含有量が記載されている。
            ・肉類: 牛もも肉 脂身なし(100gあたり4.7mg)、豚レバー(串1本40gあたり2.8mg)
            ・魚介類: うなぎ(1人前100gあたり2.7mg)、あさり水煮(約1/2缶30gあたり1.0mg)、かき(2個正味40gあたり5.6mg)
            ・卵・乳製品: 卵(1個50gあたり0.6mg)、牛乳(1杯200mlあたり0.8mg)、プロセスチーズ(1枚20gあたり0.6mg)
            ・大豆製品: 納豆(1パック40gあたり0.8mg)、絹ごし豆腐(小1パック150gあたり0.8mg)
            ・種実類: カシューナッツ(約10粒10gあたり0.5mg)、アーモンド(約10粒10gあたり0.4mg)

 亜鉛が摂れるレシピ

肉や魚介のにおいが気になるときは、卵や乳製品、大豆製品を使ったレシピがおすすめです。

参考文献:
日本病態栄養学会/改訂第3版 2024 がん病態栄養専門管理栄養士のためのがん栄養療法ガイドブック
日本栄養治療学会/がん患者さんのための栄養治療ガイドライン 2025年版

制作&協力 / おいしい健康 管理栄養士