どんな介護サービスが使えますか?

りこQ. どんな介護サービスが使えますか?

さくらA.介護保険のサービスは、「施設に通ったり、宿泊して利用するサービス」「施設に入所して利用するサービス」「自宅で利用するサービス」「生活環境を整えるためのサービス」などがあります。要介護認定の区分(要介護度)によって、利用できるサービスの中から必要なものを選んで「介護サービス計画書(ケアプラン)」を作成することになります。

りこ

がん患者の場合は、どんなサービスを使うのがよいでしょうか?

さくら
SW

もともと介護保険は、病気などの療養中でも住み慣れた自宅で過ごすことを目的としていますから、がん患者さんであれば「自宅で利用するサービス」と「生活環境を整えるためのサービス」がメインとなるでしょう。
 自宅で利用するサービスには、訪問介護や、ホームヘルパーによる生活援助があり、食事、入浴、排泄の介助や、掃除・洗濯・買い物・調理などの生活支援を行います。
 また、日常生活を円滑に行えるよう、環境を整えるための福祉用具の貸与、安全な歩行のために手すりを付けるなどの住宅改修費の支給も対象となっています。

介護保険サービスの例

自宅で利用するサービス
  • 訪問介護ホームヘルパーが自宅を訪問して、介護や生活援助を行う。
  • 訪問入浴介護浴槽を積んだ入浴車が自宅を訪問して、入浴の介助を行う。
  • 訪問看護看護師などが自宅を訪問。主治医の指示により、介護予防の療養上の世話や、必要な診療を行う。
  • 夜間対応型訪問介護夜間にホームヘルパーが自宅を訪問し、介護や生活援助を行う。
生活環境を整えるためのサービス
  • 福祉用具貸与福祉用具(手すりなど)を一定期間借りることができる。
  • 特定福祉用具購入費の支給
    貸与できない福祉用具(浴槽や便座など)の購入ができる。ただし、購入金額の上限が決められている。
  • 居宅介護住宅改修費の支給
    自宅で介護を行うために、住宅改修(手すりの取り付けなど)の費用が支給される。費用の上限あり。
さくら
SW

実際にがん患者さんが使った介護サービスを調査したところ、多く見られたのが、電動ベッドや車いすの貸出、入浴サービスでした。ほかにも、買い物や料理、掃除などの家事代行や、ポータブルトイレの購入などがあります。

がん患者さんの介護保険で、多く使われたサービス

(出典:NPO法人HOPEプロジェクト がん患者白書2016『がん遺族200人の声』)

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りこ

ところで、ケアプランはどのように作るんでしょうか?

さくら
SW

ケアプランは、ケアマネジャーのいる「居宅介護支援事業者(ケアプラン作成事業者)」へ作成を依頼しなければなりません。ケアプランはケアマネジャーが医師の意見書や患者さんとのコミュニケーション、または観察を基に作成した原案を、担当者会議による判断を経て作成されます。その後定期的なモニタリング(評価)を行い、再検討された結果、病状に応じて内容が変更される場合もあります。
 要介護度によっては、希望するサービスが介護保険で受けられないこともあるので、認定調査や意見書はとても大切です。

りこ介護が必要と認定されてもサービスが使えないことがあるんですか?

さくら
SW

要介護度には、「要介護」1~5のほか、「要支援」1・2があります。「要介護」とは文字通り「介護を必要としている」という認定です。
 「要支援」は「まだ介護までは必要ない」と判断された中で、身体の状態が今以上に悪くならないよう予防する必要がある人が認定されます。
 要支援1・2だった場合に利用できるのは「介護予防サービス」となります。内容は介護サービスとほぼ同じですが、利用できる範囲が制限されます。この場合、地域包括支援センターに相談して「介護予防サービス計画書(ケアプラン)」を作成してもらいます。

テリア
テリア

でも、どうしても使いたいサービスがある人はどうしたらよいのかしら。

さくら
SW

どうしても、というときは、民間のサービス事業者を紹介してもらい、組み合わせて活用することもできますよ。

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テリア
テリア

介護度が決まる基準は微妙な差だったりしそうですね。

さくら
SW

そうなんです。特に介護度が低い(要支援1・2や要介護1・2)ほど、その区別や判断が難しくなります。
 例えば、「要介護1」に相当する状態でも、①病気やケガで身体の状態が安定していない、②認知機能や思考・感情等の障害で予防給付の利用に関わる適切な理解ができない、③心身の状態は安定しているが、予防給付の利用が困難な身体の状態、いずれかに該当しないと「要支援2」の認定となります。
 逆にいえば、「状態が安定していない」「予防給付の利用が困難」と判断されれば、「要介護」に認定される訳です。

介護度の状態のめやす

要支援1 掃除など身の回りの世話の一部に手助けが必要。立ち上がり時などに、なんらかの支えを必要とするときがある。排泄や食事は、ほとんど自分でできる。
要支援2 要支援1の状態から日常生活に低下が見られる。問題行動や理解の低下が見られることがある。状態の維持、改善可能性が高い。
要介護1 みだしなみや掃除などの身の回りの世話に手助けが必要。立ち上がり、歩行、移動の動作に支えが必要なときがある。認知力、理解力等に衰えが見られる場合がある。心身の状態が安定していない。
要介護2 みだしなみや掃除など身の回りの世話の全般に助けが必要。立ち上がりや歩行、移動になんらかの支えが必要。排泄や食事に見守りや手助けが必要なときがある。認知力、理解力等に衰えが見られ、問題行動が見られることがある。
要介護3 みだしなみや掃除など身の回りの世話、立ち上がりなどの動作がひとりでできない。歩行や移動など、日常生活に多くの介助を必要とする。排泄が自分でできない。いくつかの問題行動や理解の低下が見られることがある。
要介護4 みだしなみや掃除など、立ち上がり、歩行など全面的な介護を必要とし、介護なしでは日常生活を行うことができない。排泄がほとんどできない。多くの問題行動や全般的な理解の低下が見られる。
要介護5 みだしなみや掃除など、立ち上がり、歩行や排せつ、食事がほとんどできない。生活全般にわたって介護を必要とし、介護なしで日常生活を行うことが不可能な状態。ほぼ寝たきりの状態に近い。意思の伝達がほとんど、またはまったくできていない場合が多い。
さくら
SW

ちなみに、介護度の認定に納得できない場合は、通知書を受け取って60日以内であれば「再審査」を申請することもできます。また、サービス利用中に、身体の状態が変化した場合は「区分変更」の申請を行います。

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記載されている内容およびサイトの情報は2023年11月現在のものです。

監修:桜井なおみ(社会福祉士)
天野初音(特定社会保険労務士 キャリアコンサルタント)

企画制作:キャンサー・ソリューションズ株式会社
2023年11月改訂