旅先で慌てないための事前の準備
予備のお薬と、お薬手帳を忘れないように注意しましょう。

心配なときは事前に医療者に相談を

体調が安定している、日常生活では特に心配なことがない、お薬が十分残っているなどの理由から、旅行に行くことを特に医療者には伝えないという人もいます。しかし、もし出かけることに不安や心配ごとがあるときには、事前に医師や看護師、薬剤師などに相談しておくとよいでしょう。

「看護師さんに電話で問い合わせ、“血液検査の結果に問題ない”と言っていただき安心して出かけることができた」「主治医に相談したところ“あまり無理をしすぎないように”とアドバイスをいただいた」という声がある一方で、「術後の後遺症で低血糖状態になっても、チョコレートやキャンディ程度で回復できると甘くみていた。普段とは違う環境になるので“万が一”や“念のため”を想定してブドウ糖を処方してもらえばよかった」という声もあります。特にお薬については医療者にあらかじめ相談しておくと安心です。

また、アクティブ系レジャーに参加する際、既往歴を求められることがあります。不正確な申告で生じるトラブルを避けるためにも正確に申告することが原則です。事前に主治医に相談しておきましょう。

お薬は分けて持っていこう

外出中は副作用に悩まされることなく過ごしたい、病気のことを忘れたいなどの理由から、ついつい服薬をさぼってしまいたくなることもあるでしょう。しかし、旅行中であっても通常と変わらず服薬を続けることは重要です。特に、遠出をする際にはお薬は多めに持参すると安心です。お出かけ前のチェックリストを参考にしてみましょう。もし残薬が少ない場合は、多めに出してもらえるか医師にあらかじめ相談してみましょう。お薬は、荷物が届かない、紛失や盗難にあったなど不測の事態に備えて分散して持っておくことも大切です。高額なお薬もあるので、なくさないよう気をつけましょう。

お薬手帳を忘れずに

「お薬を忘れてしまった!」ということになれば、自分も周りも慌ててしまいます。なかには「新幹線に乗っている途中で忘れたことに気づき、慌てて下車して取りに戻った」という人もいます。ここで活躍するのがお薬手帳。お薬手帳があれば、お薬の名前・用法・用量などが正確に一目でわかりますし、旅行先の薬局や医療機関でも対応してもらえるかもしれません。

最近は薬局で入手できる「冊子」のお薬手帳だけではなく、スマートフォンなどのアプリも数多く普及しています。スマートフォンなら常に携帯していることが多いので、忘れることも少ないですし、災害時にも役立ちますね。

海外旅行の場合は

海外旅行の場合は事前の準備が大切です。ワクチン接種が求められる国もあるため、接種してもよいか、主治医に相談してみましょう。保安検査場などではお薬の内容がわかるものを求められる場合もあります。事前に主治医に確認の上、英文の診断書や処方箋のコピーなどを準備しておくと安心です。同様のものをスーツケースなど預け手荷物の中にも入れておくことを忘れずに。また、海外では「白い粉薬」は違法薬物と誤解される可能性もあります。もし粉薬を多く処方されている人は、旅行中だけでも錠剤やカプセルに変えられないか、主治医や薬剤師に相談してみてください。現地でも気兼ねなく旅を楽しめるよう、時差のある場合の服薬のタイミングも確認しておくとよいでしょう。

海外では持ち込みが禁止されているお薬もあるの?

がんの痛みを抑えるために処方された医療用麻薬、精神安定薬や睡眠薬などは、持ち込みが禁じられた成分が含まれている薬があります。事前に地方厚生局麻薬取締部に「麻薬携帯輸出(輸入)許可」の申請手続きをしておきましょう。テロ対策などで医薬品の持ち込みを厳しく取り締まっている国もあり、お薬によっては許可が出るまでに日数を要するものもあります。医師や薬剤師には早めに相談して必要な書類をそろえておきましょう(※)。

厚生労働省HP:海外渡航先への医薬品の携帯による持ち込み・持ち出しの手続きについて別ウィンドウで開きます。(2021年10月閲覧)

優先順位をつけることが、ゆったり旅のコツ

のんびり過ごそうと思っていても、旅先では「あれも、これも」と欲張りになりがちです。予定は少なめに計画しましょう。自分の体力の戻り具合がわからず、病気になる前と同じように行動したり、買い物で重たい荷物を持ち続けたりした結果、後々体への負担が大きくなって体調を崩してしまうこともあります。普段の体力の7~8割程度を想定し、無理のないよう、余裕のあるスケジュールを組むことが大切です。追加できることは優先順位をつけて調べておき、現地での状況で増やしていくとよいでしょう。場合によってはキャンセル料より体調を優先させるなど、途中で計画を変更する勇気も持ってください。自分は休むけど、同行者には遠慮せずに楽しんでほしいと伝えることも重要です。

旅行を通じて自分の「今の体力」を知ったり、治療によって感覚過敏になっていたりと、今までとの違いに気づくこともあります。それらの「気づき」を、次の旅行の際の対処法に繋ぎましょう。

<my episode 私の場合>ひとり気ままに、のびのび旅

がんと診断されてからは、体調不良や旅先でのアクシデントの不安が生じる一方で「行っておきたい」「行かずに悔いを残したくない」という場所が増えました。がんになってからのほうが「よし、とりあえず行こう!」という気持ちになっているように思えます。その反面、家族(母親)ががんになり闘病していた立場からすれば、「無理しないで」「ハラハラする」という気持ちもわかります。どうしてもスケジュールや食事など、相手がいると我慢させてしまっている、合わせてもらっていると感じるときも…。そうした意味で、一人旅は気楽です。きっちりしたスケジュールを作らず、宿泊先だけ決めてそのときの自分の体調に合わせたのびのび旅もいいと思います。

(慢性骨髄性白血病経験者 男性・30代)

厚生労働省HP:海外渡航先への医薬品の携帯による持ち込み・持ち出しの手続きについて別ウィンドウで開きます。(2021年10月閲覧)

「新しい旅」を見つけてみませんか?

旅に出かけることはあなたにとってどんな価値がありますか? 今まで知らなかった壮大で美しい風景、価値観の違う文化、現地の人との暖かい交流…。治療後の期間や体調によっては、これまでに見慣れた景色でも、見え方が変化したり、構図や色だけではなくその土地の匂いも感じられるようになった、という人もいます。さまざまな気づきや周囲への感謝の気持ちと共に、旅先でのひとときを楽しんでいるときこそ、一番自分らしさを感じると思う人もいるかもしれません。

がんになったからといって、出かけることを諦めることはありません。今までのようにハードな行程は厳しいかもしれませんが、ゆったりとした気持ちで、自分流にのんびり楽しむ旅なら大丈夫。社会の応援も少しずつですが始まっています。

のんびり楽しむ旅だからこそ見えてくる、新しい出会いがきっとあるはずです。新しいあなたの旅を見つけてみませんか?

お役立ちサイト

がん経験者コミュニティサイト
tomosnote ウェブ版

がんを経験した仲間と繋がることができるコミュニティサイト。「みんなは、どうしてる?」「私は、こうしたよ!」など、旅行をテーマに情報交換や交流ができる場としても活用してください。

がん経験者コミュニティサイト tomosnote ウェブ版

楽天トラベル“旅行から、
がん克服”プロジェクト

がんになっても安心して旅を楽しめる社会を実現するためにスタートしたプロジェクト。がん患者さんの旅コラムや座談会、旅行ニーズ調査を通して、がん患者さんの「旅する想い」をあと押ししていきます。

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