出かけることをためらっているあなたへ
治療中でも大丈夫。リフレッシュしに出かけてみませんか。
旅行は心のメンテナンス
がんと診断された後、しばらくは頭の中が病気のことでいっぱいになり、どこかに出かけるなど考えられないかもしれません。「胃がんの手術で胃の2/3を切除し、食後の下痢と低血糖への不安が続いていた」「下痢がひどくてトイレが心配で、長時間の外出に踏み切れなかった」など、体調面に自信がない、気持ちにも余裕がないなどの理由で、外出することを遠ざけてしまう人もいるでしょう。
一方で、旅行に行くことを目標に治療に臨んだり、治療と治療の合い間の旅行がよい充電期間になるなど、旅が病気と向き合うモチベーションになっているという声も多く聞こえてきます。
いつもと違った景色を見ることで気分転換をしたり、日常と違う体験をすることで得られる充実感が、前向きな気持ちを取り戻すきっかけになったり、疲れた心をリラックスさせてくれたり、心のメンテナンスになっているのかもしれませんね。
<my episode 私の場合>心と体のバランスが整ったと感じたので
体力回復と気分転換のため、いつものコースで妻と散歩を続けていました。散歩の回数や時間が増え、だんだんしっかり歩けるようになってきたころ、「そろそろ旅行に行っても大丈夫かな?」と思えるようになってきました。軽度のうつ状態は続いていたのですが、家族が旅行ガイドなどをさり気なく私の目に入るところに置き、秋の紅葉を見に行ってみようかという前向きな気持ちが持てるよう背中を押してくれました。体調面の自信と、家族の気持ちが理解できるメンタル面が回復したことが、旅行に行く大きなきっかけとなりました。
(胃がん経験者 男性・60代)
誰と行こう?
「治療がひと段落したから自分へのご褒美に」と一人旅を考える人。「感謝の気持ちを込めて家族と一緒にのんびり過ごしたい」という人。「友人にしろ恋人にしろ、がんの治療中だと知っていても一緒に旅行に行ってくれる人がいてくれたことが一番嬉しかった」という人。外出の計画は、目的地と合わせて「誰と行こう?」と思いをめぐらせることも楽しいものです。
「体力が不安なので周りに気をつかわせてしまうかも…」と心配なら、病気をしたことを知っている家族や友人と行くと、無理のない行動ができ、必要なときにサポートも受けやすいでしょう。
「診断後の初めての旅は、がん患者同士で出かけた」という人も多いようです。副作用や後遺症の話や、普段周りには言えない気持ちなどを気兼ねなく分かち合えたりするなど、家族や友人との旅行とは一味違った心地よさが感じられるかもしれません。
個人旅行? それともツアー?
個人旅行は、自分のペースで動けるのでのんびり楽しみたい場合はおすすめですが、全て自分で手配する手間があります。ツアーの場合、自分の体調に合わせて行動ができない、休憩しづらい、参加者同士の関係に気をつかうなどのデメリットはありますが、添乗員が付く場合なら、何かあれば対処してもらえるのが大きなメリットです。予約時に配慮してほしいことなどを伝え、添乗員さんの理解を得るようにするのが上手な利用法です。
行程すべてに参加するのではなく、体調に合わせて見学先などを選択すれば疲れることなく楽しめます。ゆったり過ごせるように行程に余裕のあるツアー選びも大切ですね。
がんと診断された後、「旅行に行きたい!」と思ったのはどんなときですか?
- 家族や自分へのご褒美!
- 治療中は外出の範囲が限られていたため、もっと違う景色を見たいと思ったとき。
- 治療がひと段落したら、仕事復帰とはまた別の達成感や充実感を味わいたいと思ったとき。
- 心配をかけた周りの人に、「旅行に行けるくらい元気になった!」とアピールしたいと思ったとき。
- 2度の手術が無事に済んだタイミングで、生きる意味や、今後どう生きていくかを考えたくなったとき。
- 再発を繰り返すタイプなので、「思い立ったら今!」という気持ちで。