ゆったり旅を楽しむための移動手段
体調に合わせて選択するのがポイントです。
移動ストレスの軽減がゆったり旅の基本
移動は想像以上に体力を消耗します。「島から島への移動で高速船を利用した際、ちょっとした波が手術痕にひびいて驚いた」という人もいます。交通手段は目的地や同行者によって選ぶこともありますが、自分の体調に合わせて選んでもよいでしょう。
長時間の移動は、浮腫みの原因にもなります。浮腫み防止のために、ゆったりできる服装にしたり、着圧ソックス(締めすぎないもの)を着用したりするなど工夫をしてみましょう。靴を脱いでスリッパを履く、折り畳み式のフットレストを利用する他、荷物を足置き台の代わりにする人もいるようです。
同じ姿勢で長時間座りっぱなしになると、エコノミークラス症候群(肺塞栓症)を発症するリスクがあります。こまめに休憩をとったりストレッチをしたりするなど、意識して足を動かすようにしましょう。トイレの心配はありますが、水分補給も重要です。閉ざされた空間で長時間過ごす際は、感染症にも気をつけてください。
あなたの体調に合った交通手段は?
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余裕を持ったスケジュールで動けます。まずは近距離から始め、徐々に距離を伸ばしていってもよいでしょう。多少荷物が増えても大丈夫。渋滞したときに困らないよう、事前にコンビニやガソリンスタンド、道の駅、ホテルなどトイレ(多目的トイレも含めて)を借りられるところを調べておくと安心です。長時間の運転は神経をつかいます。同じ姿勢でいると浮腫みの原因にもなりますから、こまめに休憩やストレッチなどを心がけましょう。
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トイレ付のバスが必須です。車内で温度調整できるよう、羽織るものが1枚あると便利です。気分が悪くなったときのためにエチケット袋を持っておくと安心でしょう。夜行バスはコスト的に魅力があるかもしれませんが、よく眠れない、疲れが取れにくいと感じる人も多いようです。耳栓も必需品だという利用者もいます。
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体の自由がききにくい、足腰が弱くなり移動がつらい、介護が必要な状態だからといって、旅をあきらめる必要はありません。介護タクシー(福祉タクシー)を利用してみましょう。家を出るときから目的地まで、車の乗り降りを含めて介助してもらえます。トラベルヘルパー(外出支援専門員)が付き添い、安心して旅を楽しめるサービスもあります。
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駅構内の移動でサポートが必要な場合は、予め申告しておくことが大切です。車イスを利用する際には車イスの台数や車イス対応座席に限りがあるため、早めに鉄道会社に連絡をしておきましょう。大きな電動タイプの車イスでは客室に入れない場合もあります。デッキ付き車両の乗車になるのか鉄道会社などに確認をしておくと安心です。
また、エレベーターから改札口までの距離が思いのほか遠い場合もありますから、混んでいる時間帯の移動を避けたり、事前にルートを確認したりしておきましょう。荷物の上げ下ろしはケガの原因になります。無理はせず、人を頼るようにしましょう。トイレが心配な人は、トイレ近くの車両や通路側の席を予約すると安心です。
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空港内の移動でサポートが必要な場合は、予約の際に申告しておきましょう。機内の気圧の変化によっては内臓などが圧迫されて痛みが出たり、呼吸器などに影響が出たりする場合もあります。地上での環境とは異なりますから、心配な場合は事前に主治医や航空会社へ確認をしておきましょう。
トイレが心配な人は、トイレ近くの通路側の席を予約すると安心です。足の浮腫みが気になる場合、飛行機の非常口席は足元が広く、ストレッチなどしやすいですが、副作用や後遺症などで緊急時の対応が難しい人は利用できない可能性があります。
共同運航(コードシェア)便を利用する際は、航空券の記載便名と、実際に運航する航空会社が異なる場合があるため注意が必要です。チェックインカウンターの場所や機材の設備・サービスなどは、事前に確認を。機内で酸素吸入や医療機器を使用される人は、 航空会社より 同意書や医師の診断書などの書類の提出を求められる場合がありますので早めに確認の上、準備しておきましょう。
医薬品(液体・ジェル状含む)は、機内持ち込み・預け手荷物ともに容量の規定がありますので 、 事前に航空会社に確認をしてください。
負担を減らすには足元も大事
ゆったり旅を楽しむには、足元への配慮も大事です。旅行中はおしゃれな靴で気分を上げたいという声も聞きますが、靴の前部が長くとがっていたり、厚底になっているタイプの靴は、ひっかかりやすく転びやすいので避けましょう。道路事情によっては、石畳やガタガタの歩道など歩きにくいところもあります。汚れを気にせずガシガシ歩ける靴を重視している、という人も多いかもしれませんね。なるべく足に負担がかからないよう、軽量なスニーカーやウォーキングシューズを選ぶと、1日の疲れ方も違ってくるでしょう。
やわらかい素材のもの、ひも締めができてファスナーも付いているものなど、さまざまなタイプがありますから、お気に入りの一足を見つけてみましょう。シューフィッターのいるお店で、専門家からアドバイスを受けてもよいですね。
車イスの移動は事前に
車イスでの移動を考えている人は、移動ルートの確認や交通機関への事前申請(車イス対応の車両やスペースの有無など)、補助サービスの申込みなどの準備が必要になる場合があります。事前に駅や窓口に連絡をしましょう。飛行機は事前連絡が必須です。観光バスなどでは利用できない車両もあるので注意が必要です。
他にも、例えば「車イスで京都の庭園をめぐりたい!」というときには、砂利道や砂地用の車イス用タイヤを備える必要も出てくるかもしれませんね。
移動中のキャリーバッグは?
移動中のバッグに、体への負担が比較的軽いキャリーバッグを愛用している人も多いのではないでしょうか。引いて歩けるので体力のないときでも楽に持ち運べて便利な反面、場所によってはかえって大変になってしまうこともあるようです。行き先の道路事情や、自分の体調など、状況にあったタイプをセレクトするのが上手な活用法です。