治療中の生活費をどうしたらいいか心配です。

収入と支出を見直し、制度を活用しましょう。

 個人事業主の場合、あなたが働けない分が、収入減に直結します。そのため、会社員以上に、生活費や治療費など、お金の心配は大きいでしょう。無理をしてでも大丈夫なふりをしたり、入院中でも病室で仕事を続ける方もいるかもしれません。お金の不安は、あなたの治療のモチベーションにも関係してきます。収入というお金の入り口が狭くなったり、閉ざされてしまったりするのであれば、支出というお金の出口を閉める方法を考えてみましょう。

事業経費と生活費を仕分けする

 事業経費も生活費も「一つの財布から適当に」という「どんぶり勘定」にならないよう、事業経費と生活費はしっかり区別しておくことが必要です。まずは、これまでの支出から事業費と生活費を分けてみましょう。そうすることで、出ていくお金が「見える化」でき、治療中の生活費をどうするかを考える上で役立ちます。

収入を維持する方法を考える

 これまでの収入を維持するために、働き方の調整をして、これまでの仕事を継続することを前提に考えてみましょう。働き方の調整が無理であれば、収入の減少を最小限に食い止める方法を考えてみます。

 一方で、障害年金などの公的制度や民間の医療保険を活用することで、収入が維持できる場合もあります(6.「事業を「引き継ぐ」、「休む」ことを考えています。」の「障害年金」参照)。また、あなたが加入している生命保険の契約者貸付制度や、小規模企業共済の貸付制度など、安全で低金利の貸付を利用できるか、確認してみましょう。

支出を把握し、見直す

 生活費には住宅費や食費、教育費、通信費、日用品費、被服費、交際費などがあり、その支出は大きく分けて 2種類あります。1つは家賃や住宅ローン、教育費といった「固定費」と、もう 1つは食費や光熱費、日用品費、交際費などの「変動費」です。

<変動費を見直す>

 支出を抑えるために「生活を切り詰めなければ」と考え、真っ先に取りかかるのが食費などの変動費です。しかし、がんの治療のように長期間に及ぶ場合は、生活に潤いがなくなり、ギスギスしてしまうこともあるでしょう。
 変動費については、贅沢をしていないか、無駄な出費はないかを見直す程度にしましょう。

<固定費を見直す>

 支出を減らす方法としては、変動費ではなく、固定費を見直しすることが大切です。固定費で一番大きいのは、住宅ローンです。これまで通りの金額を返済していくことが大変な場合は、住宅ローンを組んでいる金融機関で、返済条件を変更してもらうように交渉してみるのもひとつの手段です。支払えなくなってローンを滞納してしまってからでは、交渉が難しくなることが多いので、治療方針が決定した時点で、交渉してみましょう。
 また、固定費の全般的な見直しにあたっては、ファイナンシャル・プランナーなどに相談する方法もあります。住宅ローンの他、民間の保険は、解約以外にも保障を残しながら支払いを終了する方法もあります。専門家の意見を聞くことで、今後の生活設計や保険の加入状況に応じた保険の見直しも効果的です。また、がんの治療は検査や入院費用なども含め、最初の3か月に多額の支出が予想されます。そこで、あなたの治療スケジュールを把握しておくと、「この時期に、どのくらい働けないから、収入がこのくらい減る」、「この時期に検査や治療が集中するので、このくらいの支出がある」ということがわかり、対策をたてやすいでしょう。

利用できる制度をチェックする
がん制度ドック「困ったときの相談先リスト」参照)
(※サイト情報2019年10月時点)

公的制度を活用する

 固定費の中で、支出を抑えられる可能性のあるものとして、公的保険の保険料があります。国民年金は収入に関係なく、毎月の保険料が定額です(参考:2019年度 1万6410円/月)。収入が減ったことで毎月の支払が厳しい場合は、市区町村の国民年金の窓口に相談してみましょう。所得や事情によっては、保険料の減免や猶予が受けられる場合があります。支払えないからと「未納」のままにしておくと、将来、年金がもらえなくなるなど不利益が生じることもありますので、まずは、相談してみることが大切です。

 個人事業主の多くは国民健康保険だと思いますが、身体的、経済的な理由で国民健康保険料が支払えない場合は、市区町村の国民健康保険の窓口に問い合わせてみましょう。国民年金とは条件が異なりますが、国民健康保険でも保険料の減免制度や徴収猶予を受けられる場合があります。