働けない期間があるのでこれからの資金繰りが不安です。
仕事と生活のスタイルを見直しましょう。
個人事業主の場合、主たる仕事はあなたが負っているので、あなたが働けないこと(業務量の低下)は、即、収入に響いてきます。また、自宅が仕事場だったり、仕事と生活の区切り、境目がない場合は、今後、仕事だけでなく、生活が大きく変わってくることも予測されます。そのため「せっかく、順調にここまできたのに」と悔しい思いをされる方や、「私が働けない間の生活はどうすればいいのか」と不安でたまらない方もいるでしょう。
仕事の優先順位をつけ、効率化を
治療と仕事を両立させていくためには、自分一人で抱え込まず、自分から外部へ委託することも大切です。他の人の力を借りることで、クライアントからの信頼を守ることにもつながるでしょう。家族や従業員、仕事仲間、同業者などに仕事を依頼できるようであれば、どの仕事を誰に頼むのかなど、仕事の内容を仕分けしてみます。
すぐに対応しなければならないことと、治療の見通しがたってから、あるいは退院後の回復を待ってからでも対応できることなど、時間と必要度を考え、何を誰に、どの順番に依頼するのかといった優先順位をつけながら検討していきましょう。先延ばしにできる仕事や、ペースダウンできる仕事があれば、それらを実行して仕事量を減らす、もう少し効率化できる方法があれば、それを導入するなど、あなたの負担を軽減する方法も探してみてください。
仕事を引き継ぐ
もし仕事の引き継ぎが必要な場合は、頼まれる側の予定もあるので、早目に打ち合わせをしておくとよいでしょう。治療内容や副作用、後遺症の出方には個人差があります。副作用などが思った以上に大変で、気持ちが落ち込んだり、体力や集中力の低下で、以前のように働けない人もいます。そのため、担当医に治療内容と今後の治療の見通しを確認した上で、依頼期間や仕事内容の目安を伝え、不測の事態にも柔軟に対応してもらえるように、お願いしておくことも必要です。
あなたが事業所の代表者である場合には、仕事自体ができなくなるなどの不測の事態を考え、治療に入る前に事業承継や廃業についても、ある程度視野に入れておくことをおすすめします(手続き等については6.「事業を「引き継ぐ」、「休む」ことを考えています。」の「個人事業主の事業承継とは」「事業承継の注意点」参照)。
仕事と生活のバランスを見直す
会社員と違い、労働時間の制約もなければ、働き方の決まりがないのが個人事業主。例えばフリーランスのデザイナー、ライターなどは、忙しいときは24時間のうち20時間近くを仕事にあてていても、誰にも文句は言われません。一方で、生活と仕事の区切りがなく、生活スタイルが不規則になりがちです。治療と仕事を両立させていくためにも、あなた自身の身体と心の声を大切にし、仕事と生活のバランスや、無理のない時間配分などを見直していきましょう。
家族としっかり話し合う
個人事業主は、家族が仕事の重要なパートナーである人も少なくありません。そのため、あなたの病気は、家族にとっても大きなショックです。お子さんが「このまま学業を続けて大丈夫なのか。学校を辞めるべきか」などと悩んでいるかもしれません。
問題を解決していくためには、今後の生活や仕事について、あなたの想いも含めて家族と情報を共有し、話し合うことが大切です。診察に家族が付き添えば、担当医からの説明を共有することもできます。その上で、家族に協力してもらいたいことは、しっかり言葉にして伝えましょう。
家族が遠方にいる場合、一緒に暮らしていない場合は、「心配かけたくないから」と病気のことを伝えない人もいます。ただ、治療中は一人で生活していくのが大変なときもあるので、もし遠方の家族でも協力が求められるようであれば、あらかじめ治療内容や治療の見通しを伝えておくとよいでしょう。
農業・林業・漁業など第一次産業に従事している人の場合
第一次産業の仕事は、例えば農業の場合、土づくり、収穫など、作業の時期が短期間に集中してしまう、飼育や栽培など毎日の世話が必要、天候によって仕事が左右されてしまうなど、業務量の波が大きいのが特徴です。また、コミュニティの結びつきが強いことは利点でもある一方で、体調不良でも休みづらい、高齢者が多くて頼りにくいなどの課題もあります。こうした環境下で、副作用や後遺症を抱えながらの身体を使う屋外作業は、心も身体もともに大変きつい業務でもあります。
こうした、会社員とは違う環境下で仕事と治療のバランスをとるためには、担当医と一緒に繁忙期や閑散期を考慮した治療計画(外来日や外来時間、投薬日)を検討する、小さな仕事でよいので自分にできる仕事を探す、機械を導入するなど全体の作業効率を見直す、作業の後方支援(家事や手伝い)に回る、手伝ってくれるアルバイトなどを探す、などの工夫を行うことも一つの手段になるでしょう。困ったときに周りの協力を得やすいのも、こういったコミュニティの利点かもしれません。
費用面に関しては、共済などへの加入状況を確認するほか、どうしても身体が動かず、生活に影響が出たときには、障害年金の申請(6.「事業を「引き継ぐ」、「休む」ことを考えています。」の「障害年金」参照)なども検討してください。
農薬などの化学物質と病気との関連が気になる方もいらっしゃることと思います。気になることがあれば、担当医に相談をしてみましょう。
記載されている内容およびサイトの情報は2023年10月現在のものです。