体調に関するお悩みQ&A
抗がん剤の副作用(水ぶくれ/手足の皮がむける/痛み/手足のしびれ/ホットフラッシュなど)
手術後の後遺症(ダンピング症候群/排尿障害/ストマ/リンパ浮腫など)

 仕事に復帰するとき、嬉しさと同時に不安も感じている人が多いかもしれません。治療の後遺症や薬の副作用で以前のように働けるかな?と心配になっていませんか。具体的な対処法を担当医等と相談し、職場に配慮してほしいことを伝えましょう。

Q.抗がん剤の副作用や手術後の後遺症があっても以前のように働けますか?

A.職場復帰に向け、どのような副作用や後遺症が起きるかを確認すると同時に、(1)具体的な対処法と注意事項、(2)副作用や後遺症が発生するタイミングと影響が及ぶ期間についても担当医に確認し、仕事への影響と職場への配慮を求める事項を整理しておきましょう。予防できるものは早めに予防することが大切です。

外回りから内勤中心に まずは希望を伝えてみましょう!希望する配慮の例
外回りの仕事から内勤への変更/立ち仕事から座ってできる作業への変更/勤務中の休憩許可/仕事量の軽減/残業や深夜業務の制限/通院時間の確保/トイレの近く、エアコンが直接当たらない場所などへの座席変更 など

Q.足の裏に水ぶくれができて痛くて革靴が履けません。手の皮がむけて荷物が持てません。

A.薬の影響等で起きる皮膚障害(手足症候群)により、水ぶくれ、手足の皮がむける、痛みが生じる、物がつかみにくい、歩くのがつらいなどの症状が起こることがあります。予防策は、手足を保湿すること。また、症状に応じて、やわらかい手袋・靴下の着用、足に合った靴・適度に厚みのある中敷を選ぶなどしてみましょう。仕事の面では、水仕事、重い荷物を持つ、長時間の歩行や立ち仕事など、手足への刺激が多い作業に注意しましょう。作業の後は、保湿を忘れずに。

保湿剤について
病院で処方される保湿剤には、軟膏、スプレー、ムースなどの種類があります。自分の症状や塗る場所に合ったものを医師にお願いするとよいでしょう。また、気がついたとき、すぐ使うように習慣化するためには、複数を用意して個別に持ち歩くのがおすすめです。

Q.手がしびれてパソコン作業に苦労しています。足先のしびれで移動がつらいです。

A.同じく手足に出る症状として、末梢神経障害(手足のしびれ)があります。手足のしびれ、痛み、手足に力が入らないなどの症状から、パソコン作業や手先を使う仕事、細かい動作が必要な作業、長時間の立ち仕事などの場面に影響することがあります。仕事量の調整などを相談し、時間的な余裕を持ちましょう。また、足先の感覚が鈍くなっているので、階段の登り降り、つまずきや転倒にも注意をしましょう。しびれは運動(指先や手先を動かす)したり、温めたりする(血行を良くする)とやわらぐことがありますので試してみてはいかがでしょうか。外からは分かりにくい症状なので、配慮してもらいたいことがある場合には遠慮せずに周囲に伝えることが必要です。

Q.腕を多く使う仕事のためリンパ浮腫が心配です。移動が多く、足のむくみに悩まされています。

A.リンパ浮腫は手術の後遺症の一つで、腕や足などがむくみ、長時間の立ち仕事、パソコン作業や細かい作業に影響が出ることがあります。予防のためには、弾性ストッキングや弾性スリーブ、弾性包帯等で圧迫してケアをします。医療用を購入すると、後日申請することで健康保険から一部払い戻しを受けることができる場合があります。一方、価格も手ごろな市販の着圧ソックス、着圧タイツを愛用する人も多いです。市販のものは押さえる力が少し弱めですが、一日中着用するにはちょうどよいと言う方もいますので、担当医や看護師等に相談してみましょう。

Q.通勤中や仕事中の突然のほてり・のぼせ(ホットフラッシュ)に悩まされています。

A.ホットフラッシュは治療の副作用の一つで、時と場所を選ばず、「突然カーッと暑くなって汗が噴き出る、のぼせる、ほてる」などの症状が起こります。扇子や制汗シートで涼んだり、保冷剤を利用して首などから冷やす方もいます。スカーフやカーディガン、上着などの重ね着で、体温を調節するとよいでしょう。

Q.術後後遺症(ダンピング症候群/排尿障害/ストマ)への対処法はありますか?

A.ダンピング症候群は、胃の切除後に見られる食後の不快な症状で、冷や汗やめまい、動悸などが起こります。予防するためには、(1)食事を何回かに分けて少量ずつ食べる、(2)ゆっくり、よく噛んで食べる、などに気を付けることです。このため、食事のための休憩が複数回必要なこと、気分が悪いときに横になれる休憩室の利用等を会社側に要望し、了承をもらっておくと安心です。また、低血糖を起こすこともありますので、飴などを持ち歩くとよいでしょう。

 排尿障害は、尿漏れの場合にはデオドラント効果のある尿取りパッドを使用し、尿が出にくい場合には自己導尿を続けましょう。仕事中はトイレに行くことを我慢してしまいがちです。定期的にトイレに行く、排尿日記をつけるなど、排尿のタイミングを管理することを心がけましょう。

 ストマ(人工肛門)をつけている方、排便障害をかかえている方は、通勤、外出時などに利用できるトイレの位置をあらかじめチェックしておきましょう(トイレの対処は3.「通勤途中で突然トイレに行きたくなってしまいそうで不安です。」3.「自作トイレマップとお役立ち市販グッズも参照)。

 また、消臭加工のベルトや下着、消臭シート、ガス音を抑えるカバーなど様々なストマケアの便利グッズも出ています。一人で悩まず、ストマ外来を受診して相談してみてください。

 職場ファッションについても、女性ならゆったりしたチュニックやマタニティウェア、男性なら1サイズ大き目のズボンにサスペンダーを利用するなどの工夫で楽しんでみましょう。

Q.治療で思いもしなかった症状や体の不調に悩まされています。

A.副作用や後遺症は症状の現れ方やその度合いに個人差があります。気になる体調の変化や仕事に影響する症状が現れたときには我慢せず、現在の症状等を具体的に伝え、仕事への影響の有無も含めて担当医に相談するようにしましょう。

記載されている内容およびサイトの情報は2023年10月現在のものです。