4.支援者と一緒に就活しよう!

治療とともに就活するための支援者はたくさんいる

「新規就労」とは、つまり、初めての就活体験ということですから、誰にとっても手探りの状態でしょう。それは健康な状態であっても、そうでなくても同じです。ましてや、がん患者さんの場合、「体調がすぐれなかったり、入院や通院があって就活どころではない」という状態の方も少なくないのではないでしょうか?「それでも就労支援を行う必要がある」そんなときこそ、ひとりで抱え込まず、就活の専門家の知恵を借りれば良いのです。

がん相談支援センターやハローワークを活用しよう

“就活に関する知恵”を求めるとき、がん診療連携拠点病院等では、「治療と仕事の両立」について相談をすることができます。このとき、治療とともに就労を行う上での支援者がいる、ということを覚えておいてください。AYAがん患者さんの場合、もっとも身近にいるのは、医師であり看護師だと思いますが、そうした医療者に仕事のことを相談すると、「がん相談支援センター」を紹介してくれます。そこでは、MSW(医療ソーシャルワーカー)などの医療者が仕事の相談にのってくれます。さらに詳しい就活相談を必要とする場合は、ハローワークの職員で長期療養者の専門相談員である「就労支援ナビゲーター」(以下、ナビゲーター)など就労支援の専門家を紹介してくれます。ハローワークと連携して取り組んでいる医療機関での面談では、基本的には、MSWなどの医療者とナビゲーターを含めた3者面談というのが基本ですので、初めてハローワークの人と会うとしても、不安は少ないのではないでしょうか?こうした機会を利用して、「支援者と共に」就活に臨んで欲しいのです。(さらに、相談の場では、ハローワークのナビゲーターのみならず、キャリアコンサルタントなど就労支援の専門家も支援に関わっていますので、ぜひ聞いてみてください。)

ピアサポーターからリアルな話を聞いてみよう

その他に、共に支え合う仲間として、AYA世代の若者のより身近な存在であるピアサポーターを活用するのも有効でしょう。患者会やSNSを活用し、自分以外のがん患者さんが体験した“AYAがん患者さんのリアルな就活”の情報を得ることができるはずです。

このように、“未知数の就活”を乗り越えていくには、「ひとりで抱え込まない」ことが肝要です。そして、気楽に相談してみることです。

執筆:岡田 晃 先生(一般社団法人 治療と仕事の両立支援ネット-ブリッジ キャリアコンサルタント)

2023年10月公開