1.まずは就活について知ろう

ライフステージごとに就活のスタイルが異なる

AYA世代の就職活動(以下、就活)について考えるとき、真っ先に押さえておきたいこと、そして、意外に気づいておらず、かつ、重要なポイントがあるのをご存じでしょうか?それは、どのライフステージ(年代)にいるかによって、就活のスタイルがまったく異なるということです。この点を忘れてはいけません。AYA世代は10代後半から30代と年代(年齢)の幅が広く定義されています。そのため、AYA世代における課題の中でも、検討するテーマとして就活を中心に据えたとき、高校時代の就活、大学時代の就活、社会人になってからの就活、というように、大きく3つのライフステージに分けて就活時のアプローチを考える必要が出てくるのです。

大学新卒時の就活スタイル

それら3つの年代の中で、今回、特に注目したいのは、大学時代の就活です。大学時代の就活は、ある意味、独特の就活スタイルがあるからです。その独特の就活スタイルとは、たとえ、がん患者(有病者)でも大学生である限り、 “大学新卒時の就活スタイル”を踏襲する必要があるということです。では、大学新卒時の就活には、どのような特徴があるでしょうか。大学新卒時の就活では、就活ガイダンスがあり、インターンシップがあり、エントリーシート(ES)を書く作業があり、合同企業説明会があり、などなど。普通に大学に通っていても、これらのプロセスに触れずにいる学生がいるほどですが、それが、がん患者さんであるという状況を考え合わせると、これらの就活の流れに乗っていくのは、なおのことハードルが高いのではないでしょうか。

就労支援の専門家の力を借りよう

これまでの治療を経て、もしくは治療に向き合いながら就職を考えようとするとき、身近にいる、支援者に声をかけてもらいたいのです。そして、一緒に対策を考えてもらいたいのです。そうするときっと、展開が見えてくるはずです。そもそも、大学新卒時の就活は、「人生初めての経験」なので、がんであろうとなかろうと、知らないことだらけで、不安だらけだと思います。そんなとき、ひとりで考え込まず、就労支援の専門家の知恵を拝借すれば、とても参考になり、不安も少しやわらぐのではないでしょうか。まずは、病院で看護師やソーシャルワーカーに相談してみてください。その時点で、さらに詳しい情報が必要なときは、ハローワークの就職支援ナビゲーターや就労支援の専門家につないでくれるはずです。あなたの周りの支援者を大いに活用するようにしてくださいね。

執筆:岡田 晃 先生(一般社団法人 治療と仕事の両立支援ネット-ブリッジ キャリアコンサルタント)

2023年10月公開