障害年金は、どのくらい受けられるのですか?
Q. 障害年金は、どのくらい受けられるのですか?
A.初診日に加入していた年金の種類(国民年金・厚生年金)で、計算の方法が異なります。
ずばり、年金額っていくらなんですか?
おおっ! ズバっときますね。ですが、お答えはズバっとはいかないんですよ。
まず、初診日に国民年金に加入していた場合は、障害基礎年金が支給対象となります。18歳未満(※1)のお子さんがいる場合、子の加算として、お子さん一人に対し22万8700円(年額)がプラスされます(図2)。
障害の程度 | 年金・手当金の金額(2023年度) | |
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障害厚生年金・障害手当金 | 障害基礎年金 | |
1級 | 報酬比例の年金額×1.25 + (配偶者の加給年金額) |
1956.4.2以降に生まれた方 993,750円+(子の加算額) 1956.4.1以前に生まれた方 990,750円+(子の加算額) |
2級 | 報酬比例の年金額 + (配偶者の加給年金額) |
1956.4.2以降に生まれた方 795,000円+(子の加算額) 1956.4.1以前に生まれた方 792,600円+(子の加算額) |
3級 | 報酬比例の年金額 最低保障額 1956.4.2以降に生まれた方 596,300円 1956.4.1以前に生まれた方 594,599円 |
なし |
障害手当金 | 1956.4.2以降に生まれた方 1,192,600円 1956.4.1以前に生まれた方 1,189,000円 |
なし |
金額は年度ごとに見直しが行われます。最新の金額は日本年金機構のホームページをご参照ください。
※18歳未満の子…1.「障害年金ってなんですか」図1 障害年金の種類を参照ください。
子どもがいると増額になるんですね。教育費などがかかるから、とても助かりますね。
そうなんです。
初診日に厚生年金に加入していた場合は、報酬比例の年金額で決まります。報酬比例というのは、給料等を基に計算された平均標準報酬月額・平均標準報酬額と加入期間の月数で決まりますが、計算式だけでも複雑です。ここではその計算式には触れませんが、いずれの場合も、加入月数は、300月(25年)なくても、300月加入とみなして計算します。また、最低保障額が決まっているので、それを目安にするのもありですよね。
難しい話ですね。
大丈夫。私たち社労士がいますから!
なお、障害厚生年金の1級又は2級に該当する場合は、障害基礎年金も併せて受けることができます。また、一定の条件を満たす(生計維持関係にある)65歳未満の配偶者がいる場合には、配偶者の加給年金額22万8700円(年額)が加算されます。
厚生年金の障害手当金は、厚生年金に加入している間に初診日のある病気・ケガが初診日から5年以内に治り、3級の障害よりやや程度の軽い障害が残ったときに支給される一時金です。
制度のことはだいたい分かりました。
具体的に、私の場合はどうなりますか?
そうですね。では、ただおさんの場合はどうなるのか具体的に説明していきましょう。まず状況を詳しく説明してもらえますか?
私は、1年半まえに手術を受けて、その後、抗がん剤治療を受けています。今も抗がん剤治療を受けながら仕事をしています。治療の副作用などで体がすごくだるく(倦怠感)、微熱も続いています。最近、段々仕事や通勤がきつくなってきました。
そうですか。それは大変ですね。初診日のときは、サラリーマンでしたよね?
はい。病気が分かったのは、会社の検診です。その後、今かかっている病院で10月10日に精密検査を受けて判明しました。
昔も今も正社員で、厚生年金分の保険料が給与から引かれています。
ということは、初診日は、厚生年金に加入中でしたね。ただおさんの場合を図にしてみました(図3)。今は既に初診日から1年6か月を経過していますので、障害認定日(2022年4月10日)時点で障害年金の等級に該当するかどうかです。
ここで障害等級1~3級に該当すれば障害年金の受給対象になります。
私の場合は、初診日から1年6か月経過時点では、生活はある程度できていましたが、だるさや微熱があって、吐き気もあります。なかなか仕事に集中できず、しんどくなっているので…。
そうですね。最終的な判断は医師の診断書など提出された書類を基に、日本年金機構が決定しますが、3級を受けられる可能性がありますね。
そうなんですね。
いまご紹介した請求は「障害認定日による請求」といいます。障害年金は、このほかに「事後重症による請求」というものがあります。今回、障害認定日による請求をして、「障害年金に該当しない」と判断されるような場合、その後、症状が重くなった場合の請求方法です。
次の図のような形になります(図4)。
ということは、チャンスは1回ではなく、もし、今回、認められなくても、症状が変わったら請求できるということですね?
そういうことです。ただし、「事後重症による請求」の場合、請求した日の翌月から支給される形ですので、該当する、と思ったら、早めに請求手続きを取ることが必要です。
初診日から1年6か月経過するまでの間に仕事ができず、会社を休む会社員などの場合、「傷病手当金」が支給されることがあります(7.「収入の減少や出費をカバーする制度は、他にもありますか?」参照)。
個人事業主など国民健康保険に加入されている方、健康保険の被扶養者の方などは、初診日から障害認定日までの1年6か月の間、収入減を補うために利用できる公的制度はありませんのでご注意ください。
記載されている内容およびサイトの情報は2023年11月現在のものです。