どうやったら受けられますか? 気をつけるポイントは?

まきQ. どうやったら受けられますか? 気をつけるポイントは?

ワンダ社労士A.まずは専門家に相談してみましょう。

まき(妻)

実際に受け取るためには、どうすればよいのでしょう?

ワンダ
社労士

まずは障害年金の請求を行います。請求先は、初診日が厚生年金の場合は、住所を管轄する年金事務所です。初診日が国民年金の場合は、お住まいの市区町村の年金の窓口になります。共済組合に加入中の場合は、加入していた共済組合です。
(共済組合は、平成27年10月1日に厚生年金に統合され、現在は、厚生年金の扱いですが、手続きは、共済組合となります。)

まき

夫の場合は、厚生年金に加入中だから…

ワンダ
社労士

はい。年金事務所になりますね。管轄の年金事務所を調べるには、日本年金機構のホームページが便利です(2.「障害年金は、がんでも受けられるのですか?」日本年金機構のホームページ参照)。
 それから、年金事務所に相談する場合、あらかじめ、訪問する日時を予約してから行くことをおすすめします。年金事務所は非常に混んでいて、連絡しないで行くと非常に待たされる場合が多いです。ですので、電話予約してから行きましょう。
 「相談窓口」を6.「相談窓口を知りたいです。」にまとめましたので、そちらもご参照ください。

まき

手続きが複雑と聞きましたが、私たちだけで手続きができるでしょうか。

ワンダ
社労士

そうですね…。障害年金の手続きは、提出する書類の数も多く、気をつけるポイントも非常に多いので、たぶん、数ある社会保険の手続きの中でも特に大変な手続きかもしれません。

まき

そんなに大変なんですか?

ワンダ
社労士

まず書類の種類が多いです(図5)。また、病気や症状によって、提出する書類が違ってきます。たとえば、「診断書」は、「眼の障害用」など、全部で8種類あります(図6)。傷病の状態によって、1枚又は複数枚出すこともあります。書類をもらうためにも、一度、年金事務所に相談されることをおすすめします。

図5 手続きに必要な書類

必ず提出するもの
  • 年金請求書
  • 診断書
  • 病歴・就労状況等申立書
  • 戸籍謄本、戸籍抄本、又は戸籍の記載事項証明書、住民票又は住民票の記載事項証明書のいずれか
受診状況などで提出するもの
  • 受診状況等証明書
  • 受診状況等証明書が添付できない理由書

…他に状況によって提出するものがあります。

ワンダ
社労士

年金の手続きは、基本的に書類で審査されて給付の有無が決まります。したがって、①障害年金の受給のための要件を満たしているか ②各書類につじつまが合わないことがないか、という点を特にチェックされます。

図6 診断書の種類(心身状態によって、以下の書類を使用。複数枚使うこともある。)
診断書の種類 該当障害
様式第120号の1 目の障害用
様式第120号の2 聴覚・鼻腔機能・平衡感覚・そしゃく・嚥下・言語機能の障害用
様式第120号の3 肢体の障害用
様式第120号の4 精神の障害用
様式第120号の5 呼吸器疾患の障害用
様式第120号の6-(1) 循環器疾患の障害用
様式第120号の6-(2) 腎疾患・肝疾患・糖尿病の障害用
様式第120号の7 血液・造血器・その他の障害用
まき

ますます不安になってきました。

ワンダ
社労士

もう少し説明を続けますね。
自分で手続きする場合、1度で手続きが終わらず、何度か年金事務所とやり取りすることも多いです。とくに、体調が芳しくない中で、手続きを進めていくのは結構つらいこともあるので、まずは、年金事務所に電話予約を入れて、細かいところを確認してから手続きされるのがおすすめですね。
 また、社会保険労務士の中には「障害年金の請求手続き」を専門とする者もいます。

まき

障害年金の請求手続きの専門家ですか!?

ワンダ
社労士

体力的に出かけるのが難しい、手続きに自信がないなどの場合は、専門家に依頼して代行手続き(有料)を利用するのもひとつの方法かもしれません。

まき

請求のときに気をつけるポイントはありますか?

ワンダ
社労士

請求のポイントの第一としては、「病歴・就労状況等申立書」の書き方です。この書類は、障害状態にあることを自分で申し立てる書類になっています。生活や仕事上でどんな困りごとがあるのか、病気はどんな状態だったのかなど分かりやすく書いていくことが大切です。
 ポイントの第二は、時効です。請求しないで、年金を受ける権利が生じたところから5年を過ぎると、それ以前の期間について受けることができなくなるので、気をつける必要がありますね。

ワンダ社労士のわんポイントアドバイス

ワンダ社労士のわんポイントアドバイス

社労士に障害年金の手続きを頼む(代行)には

 障害年金の手続きは、受給するまでにたくさんのハードルがあります。また、体調が良くない中での請求手続きは、患者さん自身の心身に相当な負担をかけることも考えると、手続きに習熟した専門家(社会保険労務士)に手続きを代行することもひとつの方法です。

手続き代行にかかる費用は?

 手続き代行にかかる費用は、一律ではありません。最初の相談は無料、実際に手続き代行を契約したところから費用が発生する、というのが一般的です。料金体系もまちまちですが、着手金(手続きにかかる費用などを前払いする)プラス、障害年金の決定が出た場合、その年金額の1~2か月分を支払うということが多いようです。また、社会保険労務士でも、障害年金を得意とする人とそうでない人がいます。
 まずは年金事務所や「街角の年金相談センター」などに相談をしてみて、書類等を見たうえで、自分で手続きできるかを考えてみましょう。
 障害年金が得意な社会保険労務士を探すには、お住まいの都道府県の社会保険労務士会に問い合わせする他に(6.「相談窓口を知りたいです。」参照)、インターネットで探すという方法もあります。
 なお、手続きを依頼する場合は、代行費用の詳細や支払いの条件などを事前にきちんと確認しておきましょう。

Aさんの場合

 Aさんは、50代の女性です。夫と成人した息子の3人家族です。
 6年前に会社の健康診断で、乳がんの疑いを指摘され、大学病院の乳腺外科を受診。精密検査の結果、乳がんと診断されました。
 手術後、抗がん剤とホルモン治療を行いました。ホルモン治療の頃から、仕事に復帰して、フルタイムで勤務していたのですが、ホルモン治療の終了予定直後に、再発が判明(肝臓・骨)。抗がん剤治療が始まりました。治療が進む中で、倦怠感・歩行困難などが生じてきて、フルタイムでの仕事の継続が難しくなり、退職しました。
 障害年金の存在を知り、社会保険労務士に相談したところ、初診日が厚生年金で、年金の給付の条件は満たしていると思われると説明を受け、手続きの代行を依頼しました。
 書類を年金事務所に提出して、約2か月後、障害厚生年金3級決定の通知が来ました。今は、障害厚生年金を受けながらパートタイマーとして働いています。今後、症状が重くなったら、手続きをした社会保険労務士に相談をして、2級になるための「額改定請求」(7.「収入の減少や出費をカバーする制度は、他にもありますか?」参照)を行うつもりです。