教えてください！大野先生

新型コロナウイルス感染症（COVID-19）は新種のコロナウイルスによって引き起こされる感染症です。感染した人からの咳やくしゃみ・つばなどの飛沫や、閉鎖された空間で多くの人と近距離で会話をすることで感染するリスクが高まります。
床や物の表面に付着したウイルスに触れた手指で口・鼻・目などを触ることで感染する可能性もあります。ウイルスを「体に入れない」よう意識することが大切です。

患者さんは、がんそのものや化学療法などのがん治療で一般的に体力が落ちやすく、お薬の種類によっては白血球が減り、免疫の働きが低下してしまうものもあるため感染した場合は重症化しやすいと考えられています。現在治療中の方だけではなく、1～2年以内にがん治療を経験された方や、治療から数年経ち「自分は元気！」と思っていても、血液検査のデータ上、免疫の働きが低下している方もいます。

肺がん、血液のがん、転移があるような進行がん、最近手術を受けた方は、特に重症化のリスクがあるという報告もあります。転移先の部位による重症化のリスクは分かっていませんが、肺転移、脳転移や骨転移の方、治療で骨盤や脊椎の広範囲に放射線を当てた方は、白血球が減るなどの副作用が出る場合もあるため、しっかり感染予防対策をしましょう。

新型コロナウイルス感染症の治療薬として候補に挙がっているお薬と、がん治療のお薬（抗がん剤や分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬など）との相互作用については、まだ分かっていないことが多くあります。新型コロナウイルス陽性の結果が出れば、がん治療は一時中断し、まずは新型コロナウイルス感染症の治療を行うことになりますから、治療薬については担当医とよくご相談ください。