男性の場合-精巣機能

男性生殖器のしくみ

男性の生殖器はどのようなしくみになっているのでしょうか。男性の生殖器は、精子をつくる精巣(睾丸)、精子を一時的に溜め、また精子の成熟を助ける精巣上体(副睾丸)、精子の通過路である精管、精液をつくる精嚢(せいのう)、射精に重要な役割をもつ前立腺、精液と尿が通過する陰茎(いんけい)からできています(図1)。
精巣は陰嚢(いんのう)の中にあり、内部には精細管とよばれる直径約200μmの細い管がたくさんあり、その中で約90日かけて精子がつくられます。ヒトは1日あたり精子を150~275×106個作ることができるといわれています。

参考:日本がん・生殖医療学会 
http://www.j-sfp.org/fertility/man.html別ウィンドウで開きます
(2021年1月参照)

図1 男性の生殖器

子どもを授かるために必要なこと

子どもを授かるためには、「卵子と受精可能な精子をつくる」、「精子を女性の生殖器へ送り込む」という2つのはたらきが必要になります(図2)。

図2 子供を授かるために必要なこと

精子のできかたとホルモンのかかわり

精子がつくられるしくみについて解説します。精子は精巣の中の精細管でつくられます。精細管の内側には、精子をつくるおおもとの細胞があり、これが分裂を繰り返しながら最終的にオタマジャクシのような形をした精子になります。

精子のできかたとホルモンのかかわり

精細管と精細管とのあいだには間質細胞とよばれる細胞群があります。この細胞は脳下垂体から分泌される黄体形成ホルモン(LH)の刺激を受けて男性ホルモン(テストステロン)を分泌します。また、脳下垂体からは卵胞刺激ホルモン(FSH)も分泌されており、精子ができるには、このFSHと間質細胞でつくられる男性ホルモン(テストステロン)が重要な役割を果たしており、精子の産生をコントロールしています(図3)。

図3 精子とホルモンのかかわり

精子が体外に放出されるまでのながれ

精子が尿道から放出されるまでのながれを見てみましょう。精細管でつくられた精子は、精細管を移動して精巣上体へと進み、そこで成熟して蓄えられます。そして、性的刺激によって陰茎が勃起すると、精嚢や前立腺でつくられた分泌物と一緒に体外へ放出されます(射精)(図4)。
これらの過程は、「交感神経*」や「副交感神経**」によってコントロールされています。

*:交感神経は、体内の臓器をうまく機能させるために必要な神経で、精子が女性の生殖器内へ運ばれるまでの一連の過程をつかさどっています。

**:副交感神経は、心身がリラックス状態の時に働く神経で、勃起に必要な神経です。男性機能への直接的な性的刺激、あるいは「視覚、聴覚、臭覚、味覚、触覚」などの性的な刺激を勃起中枢へ運ぶことで勃起が起こります。

図4 精子が体外に放出されるまでのながれ