がん患者さんの食と栄養へのよくある5つのイメージ

(2021年12月更新)

こんなふうに思っていませんか?

がん患者さんの食と栄養へのよくある5つのイメージ
イメージ3日くらい食べなくても大丈夫だと思う
食べたくなければ、2~3日くらい食べられなくても、今の自分には大きな問題ではないと思う
食事のことは二の次。食べられなくても「食べること」に気が回らない
イメージがんになってしまったので、食事で〇〇制限を始めた
がんを発症したのはこれまでの食生活が原因だと思う。これまで好んできた食習慣を変更したり、食べることを諦めたものがたくさんある
イメージ心配なことが多くて、食べる気にならない
食べる気持ちにならない。食べることよりも先に考えなければならないことがあるようで気持ちが食べることに向かない
イメージ最近、食べることが億劫になってきた
食欲がわかない。食べることを考えられない
イメージほかのがん患者さんが●●は食べてはいけないと言われていたので自分も食べないようにしている
友人、知人、家族またがんの経験者から勧められた食品、避けたいほうがよいと言われた食品、禁止食品に従うようにしている

ひとつでも心当たりがある方は、栄養状態が悪くなってしまう可能性も。
いったい、こうしたイメージは、どこが違っているのでしょう?
がん患者さんの栄養指導を行っている管理栄養士さんに聞きました。

よくあるイメージ13日くらい食べなくても大丈夫だと思う

手術後に一時的に食事が摂りにくくなっている方などで、このように考えている方がときどきいらっしゃいます。健康な人が食事を抜くのと、病気のため心身が弱っている患者さんが食事を抜くのでは、状況が違います。食事が摂れないことによって、身体のエネルギーや栄養が低下し、治療に必要な免疫力や体力も落ちる心配があります。治療の開始・継続や術後の回復には、食事を摂ることも大切な治療になります。

よくあるイメージ2がんになってしまったので、食事で〇〇制限を始めた

食べるものの制限を始める方は、肉を食べない、砂糖抜き、塩分を極端に控える、果物を禁止、糖質制限…など様々です。また、玄米食、野菜中心など食生活を変えてしまう方や、がんになって、これまでの食生活を否定し、食べることに制約を加えて、病に向かおうとする方に多く出会います。特定の食材や栄養素、調味料を制限することが積極的な治療には繋がりません。制限をしすぎて、体重を落とすことがないように、必要な栄養量を摂り、時には好きな食材やメニューを楽しく食べて、身体と優しく向き合うようにすることが大切です。

よくあるイメージ3心配なことが多くて、食べる気にならない

がんと診断され、これからの治療のことや将来のことなどを心配したり、不安に感じている方も多いことでしょう。食欲がわかない、食事のことなど考えられないという方もいらっしゃるかもしれません。治療中であっても食事をおろそかにしないことは、身体を整え、人と繋がり、自分らしい生活を送ることになります。

よくあるイメージ4最近、食べることが億劫になってきた

病気の進行や治療の影響、治療薬の副作用などで、食事がとれず、「食べること」を負担に感じるようになる方もいます。がんになる前と同じように食べることは難しくても、食べられる方法を工夫し、食べたいと思えるものを探して、食べられるものをしっかりと食べるようにしましょう。体力を落とさないためにも、「食べること」を大切にしてください。自分にあった食生活を守るために、少しの努力が大切です。

よくあるイメージ5ほかのがん患者さんが●●は食べてはいけないと言われていたので自分も食べないようにしている

がん患者さんは一人ひとり、病気の状態も治療方法も違います。患者さんによっては、治療のために禁止する食品もありますが、ほかの患者さんが「食べてはいけない」と言われたものが、自分にもあてはまるわけではありません。また、情報が多すぎるために何を食べればよいのか、何を食べてはいけないのか戸惑います。禁止食品については、主治医から指導があります。その他の食品選択については、管理栄養士に相談をしましょう。思い込みが強すぎて食生活が苦痛になったり、食べるものが限られてしまって体力が低下しないようにしてください。

監修:大妻女子大学 川口 美喜子先生
東京医科歯科大学病院 豊島 瑞枝さん

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