まさか、息子が不登校?!
~治療中の子育ては、周囲も巻き込みチームプレーで~

(公開:2021年2月15日)

夜、帰宅してきた木村タカシ(48才)。タカシ:ただいま。玄関から家の中に向かって声をかけるが、誰からも返事はない。スマートフォンで妻であるリサ(47才)からのメッセージ見るタカシ。病室でメッセージを打つ心配そうなリサの顔が背景に浮かぶ。リサからのメッセージ:タケル、今日も学校に行かなかったみたい。試合も近いのに。サッカー部のお母さんたちが心配してるの。

階段を上り、タケルの部屋のドアをノックするタカシ。タカシ:今日も学校行かなかったんだって?もうすぐ試合なんだろ?タカシ:お父さんにできることがあったら言ってくれ。明日はちゃんと行くんだぞ。階段を下っていくタカシ。タケル(13才)は部屋の中でマンガ雑誌に目を落としながら、返事をせずにうつむいている。

仕事を早く切り上げて病院に向かうタカシ。タカシ:すみません、お先に失礼します。上司:お見舞いだろ、気にしないでいいから。お疲れ様。病院の談話室でリサと看護師が何か話している。リサ:あの子、今日も学校に行ってないみたいで。部活も一生懸命やっていたのに。タカシが談話室に入ってきて、看護師に会釈する。看護師:木村さん、どうも。リサ:タケルのこと、相談してて。

看護師:お父さまから見て、タケル君はどうですか。タカシも談話室の椅子に腰を掛け、3人でテーブルを囲む。タカシ:それが何も話してくれなくて。リサ:私が病気になったせいで、タケルは苦しんでいるんでしょうか。あの子には丁寧に説明したつもりだし、理解もしてくれてたはずなのに。自分を責め、うつむくリサに看護師は諭すように声をかける。看護師:ご自分を責めないでください。思春期は大人でも子供でもない、不安定な時期ですから。

看護師:思春期のお子さんが親御さんのがんを受け入れられずに問題行動を起こす例は時々みられるんです。リサ:そうなんですね。看護師:家族以外の大人に頼りたいと思う時期でもありますから、あまり自分のことを話したがらないのかもしれません。タカシ:そうですか。落ち込んだタケルの表情を思い浮かべ、表情を曇らせるタカシ。

看護師:でもそれは、タケル君が自立しようとしている証拠なんですよ。看護師の言葉を聞いて顔を上げるリサとタカシ。看護師:担任の先生や部活のコーチとか、周りの大人にサポートをお願いしてみるのも良いと思いますよ。タカシ:そうですね。ありがとうございます。タカシは、はっとひらめいたようにリサに向き直る。少し表情が明るくなる2人。タカシ:サッカー部のコーチなら親同士の懇親会で面識もあるし、相談してみようか。リサ:そうね。

夜、自宅のリビングで、サッカー部のコーチに電話するタカシ。タカシ:自分たちにできることは精一杯やっているつもりなんです。でもなかなか私たちの気持ちが伝わらなくて。コーチ:実は僕も担任の先生も、ずっとタケル君のことを心配していたんです。彼はしっかりしているせいか、周りに頼られることが多くて、逆に頼るのが少し苦手そうですから。怪我をしている仲間を支えたり、後輩を励ますタケルを思い出しながら話すコーチ。タカシ:そうだったんですか。

励ますように電話口に向かって話すコーチ。コーチ:僕にできることをさせてください。タケル君と話してみます。タカシ:ありがとうございます。生徒指導室で向き合って話をするコーチとタケル。始めは固かったタケルの表情が少しずつほぐれ、最後には泣き出す。

泣いているタケルの頭をなでるコーチ。自宅リビングで、タケルが気まずそうにタカシに話しかける。笑顔になる2人。コーチは、部活に励むタケルの姿をほほえましく眺める。病室にタカシとタケルがお見舞いにやってくる。タケル:お母さん、俺、県大会出られることになったよ。

リサ:すごいじゃない。実は、来週退院できることになったの。しばらく通院での治療になるって。顔が明るくなるタカシとタケル。そばにいた看護師が笑顔で話す。看護師:外来治療中は無理せずに、困ったことがあれば相談してくださいね。タカシ、リサ、タケル:ありがとうございます。笑顔でお礼を言う3人。